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亀山市にて泌尿器科・腎臓内科を診療する「亀山 腎・泌尿器科クリニック」についてご案内します。鈴鹿市からもアクセス良好です。

院長雑感 2017年

タバコ 2017-09-30

少し前の話になりますが、6月、国会で受動喫煙防止強化を盛り込んだ健康増進法の改正が見送りになりました。2003年に施行された健康増進法で公共施設の管理者には受動喫煙防止義務が課せられていますが、「受動喫煙防止法案」とも呼ばれる今回の改正は、「飲食店を含む公共空間を原則禁煙とする(喫煙室の設置は容認)」というさらに進んだものでした。ただ、国民の健康を守るためのこの改正案は成立していません。

私は子供の頃、気管支が弱く、よく病院通いをしましたが、当時は病院の待合室でも咳込む子供の横で大人は平気でタバコを吸っていました。日本は先進国でありながら公共の場での喫煙に寛容で、駅や特急列車、タクシーが禁煙になったのも21世紀に入って暫くしてからでした。現在でも世界保健機関WHOの評価基準では、日本は、受動喫煙防止対策、脱たばこ・メディアキャンペーン、たばこの広告・販売・後援の禁止の項目において最低レベルと判定されているそうです(厚生労働省「たばこ白書」)。

紫煙には4,000もの化学物質が含まれ、そのうちの約70が発癌物質です。タバコが引き起こす癌といえば、肺や喉の癌が思い浮かぶと思いますが、実は、我々泌尿器科が扱う膀胱癌も喫煙との因果関係が示されています。また、男性不妊症で受診される方が喫煙者であるなら、強く禁煙をお勧めしています(心の中では、どれだけ本心で子供を望んでいるかを表しているようにすら感じています)。

病気が判ったあと、或いは子供を望む(生まれた)ときにすら、タバコを止められないのは、それがニコチン依存症だからです。依存するのは、大脳辺縁系と呼ばれる本能を司る部分なので、意志の力だけで禁煙するのは難しいと言われています。ぜひ、禁煙外来などを利用しましょう。

林修先生はCMで「じゃあ、いつやるの?」と聞きましたが、タバコに関しては「じゃあ、いつ止めるの?」と聞くことに、そして国会議員の先生方には、「(受動喫煙防止法を)いつ成立させるの?」と聞くことになります。もちろん答えは、「いまでしょう!」ですよ。議員の先生方、しっかりして下さいね!!!

離れて暮らす友だちの効用 2017-08-01

先日、学生時代に仲の良かった友人と男ばかり3人で食事をしてきました。三重と名古屋と京都でそれぞれに暮らしているので、見栄も無く、仲が良くても距離的に近い人にはなかなか言いづらいことも話せる関係であるのがいいです。

当然ですが、年齢が近いので、抱える悩みも似たものが多く、今では、働き方のことや、多感な年頃の子供のことが中心です。そのうちに親の介護とか、自分の健康のことになっていくのだろうと思います。最近、子供への接し方に思い悩んでいたので、そのことを話すと、一人も同じようなことで悩んでいました。そして、もう一人からは、帰り際に1冊の本を贈られました(彼には以前に少し話をしていました)。

嬉しかったのは、「君の為と思って」といった主観の押し付けではなく、「自分も同じだから一緒に考えよう」と思ってくれたこと(と感じられたこと)でした。自分なら(本屋で見ても)自発的に買うことはないだろうと思えた本でしたが、嬉しく、何度か読み返しました。そして、新たに幾らかの学びを得ることができました。

少し離れた人と話すと、「ああ、こんな考え方もあるのだ」となぜか意見を素直に受け入れられることがあるのが不思議です。「離れた」というのは、距離だけでなく、年齢層や職業の全く違う人なども含まれるかも知れません。

よく「遠くの親戚より、近くの他人」とか、「血は水より濃い」とか言ったりします。もちろん、身近な人を頼れるのは恵まれた環境なのですが、自分の考えに凝り固まってしまい、誰の意見も聞きたくない!という様な場合には、距離や立場が少し離れた人と話してみるのもよいかも知れません。離れて暮らす友人(遠くの他人)には、少し不思議な効用があるようですから

待ち時間調査の結果 2017-07-05

先月の雑感でも書きました、本年4月〜6月の院内滞在時間の調査結果が出ました。

結果は、診察までの待ち時間ではなく、受付から会計終了までの所用時間の平均です。週の前半(月曜、水曜)の午前中はやや混雑する傾向があり、全曜日を通して午後は比較的待ち時間が短め、という結果でした。会計までに1時間以上掛かった方の割合も示しています。

受診される時間帯やその日の初診の方の数(初診の方は問診や検査で、再診の方の3倍くらい時間が掛かります)、また、連休との兼ね合いや、その日のお天気によっても混雑の度合いは変わってきます。

当院では予約診療をしていないため、基本的に来院順の診察ということになります。今回の調査結果を参考に、時間に余裕を持った受診をお願いしたいと思います。

待ち時間 2017-06-28

日本の医療は、よく、「2時間待って、3分診療」と揶揄されます。病院での満足度調査で、ダントツの不満は、やはり、「待ち時間の長さ」だそうです。

当院でも受付から会計までどの程度、時間が掛かるのか、今年の4月から6月に受診された方を対象に、調査を行っています。当院は電子カルテですので、受付の時間から、会計終了の時間までを正確に確認することができます。直近、3ヵ月間の曜日別×午前・午後別に、受付から会計終了までの平均所要時間を近々、ホームページにお示しできると思います。

時間は誰しもに平等で貴重なものです。長く待っても、「待った甲斐があった」と思われるような診療を心掛けたいと思います。

ヘドノミクス 2017-05-22

「実質賃金が5年ぶりに上昇した」というニュースを見ました。厚生労働省が発表した「2016年の実質賃金(速報値)」についての報道です。アベノミクスが始まって既に4年半が経過していますが、「え? 賃金は今まで上がっていなかったの?」と、とても驚きました。

「経済学」を英語で「エコノミクス」と言いますが、これとは別に「ヘドノミクス」という言葉があります。これは、「所有する物やサービスの量は同じでも、人が感じる幸福の量は変わる」という考え方です。いつかのクレジットカードのCMであった「お金で買えないものプライスレス」の考え方です。

人が感じる幸福の量を、できるだけ大きくするにはどうしたらよいのでしょうか?ヘドノミクスの実践のためには、①良い知らせは、知らせがあること自体を事前にアナウンスしてゆっくり伝え、悪い知らせは、いきなり、まとめて伝える。②悪い知らせと良い知らせがあれば、良い知らせから伝える。という2つのポイントがあるそうです(行動経済学という分野で示されています)。

医療の現場にもこのヘドノミクスの考え方は応用できます。例えば、膀胱がんを削る手術をして入院中の患者さんに、術後、「手術でがんは完全に削りきれた」という良いニュースと、「膀胱がんの再発率は高いので、今後5年間、3ヵ月毎に膀胱鏡検査を行わなければならい」という悪いニュースを伝える場合です。この場合、②から、「がんを削りきれたこと」を先に伝える方が、患者さんの幸福度が上がる、ということになります。

これは些細な例ですが、この様な「患者の幸福度を上げるための知識・テクニック」は、医師の養成機関である医学部ではほとんど教えてもらえません。個人の良識や自助努力も大切ですが、医師が、患者心理の理解や患者とのコミュニケーション技術を学ぶ機会がもっと多くあってもよいと思います。

考えて、変わる 2017-04-29

「些細なことに傷つかないために鈍感でいましょう」「楽に生きるために、嫌われる勇気を持ちましょう」そんな本が売れていると聞きます。一方、災害などが起きると、「人は一人では生きてゆけない」「助け合いや絆が大切」という言葉が溢れます。人生では、これまでの思いや考えと正反対のことが意味や価値を持つ場面に遭遇します。

結局、「人や物事、状況を見極める能力を持つ」ことが、必要以上に傷つかない(損をしない)ために必要な態度なのでしょう。「物事を見極める」ということは、その情報を収集、理解して、いまの自分の考え方と照らし合わせ、自らの態度を決めること、すなわち、「考える」ということです。

学生時代は皆、「正答」だけを求めようとしました(私もです)。今では「少し良い条件で従業員を募集すると応募が殺到するけれど、簡単なレポートを課すと、その提出はほとんど無い」という経営者の方の話を、また、「経営者からは『理屈や制度はどうでもいいから、儲かる商品(節税方法)を教えろ』と言われる」という税理士さんの話を聞きます。学生も、求職者も、経営者も「考えることに消極的」という点では同じです(経営者は税理士にお金を支払っているので、正当な権利ですけど)。

考えることを避けて、何でも人のせいにして生きていくことができれば楽ですが、たぶん、そんな生き方はありません。そして、世の中には正反対のことも多いけれど、そのどちらも選択し得る状況があり得ます。主義、主張の一貫性の無さは「ブレている」「信用できない」と評価されがちですが、状況によって態度を変えられなければ、きっと深く傷ついたり、大きな損失を抱えたりすることになります。最近、大企業の巨額損失の報道が相次いでいますが、これは経営者が、上手く考えられずに、上手く変われなかったからではないでしょうか。

だから私は革靴を履く 2017-03-11

白衣は医療職の象徴です。私は、子供の頃から白衣への憧れがありました。ナポレオンは、「人は、その制服の通りの人間になる」と言いました。現代では、「見た目」が自分にとっても、他人にとっても重要であると考えられています。自分にとってファッションは自分の理想に近づくための手段であり、一方で他人には信頼を与えるためのツールということになるでしょう。

人は、言葉や文字といった情報伝達の手段を持ちますが、人が受ける情報のうち87%は視覚からのものだそうです。また、人の行動が他人にどのように影響を及ぼすかという研究では、話の内容などの言語情報が7%、口調などの聴覚情報が38%、見た目などの視覚情報が55%の割合であった、という研究結果があるそうです(「メラビアンの法則」と呼ばれます)。

普段、我々は、「この人は信頼できる」、「この人は優しそうだ」などと直感的に人を判断しています。クリニックでは、初対面の患者さんに「この先生は信頼できそうだ」と感じて頂く必要があります。これは医師のためでもあり、また、患者さんのためでもあります。頼りなさげなドクターが処方する薬の効果は、知れているでしょう。排尿に関する症状は血圧や血糖値と違い、「ほぼ主観」ですから、なおさらです。

薬の効果を見る臨床試験では、薬は誰が処方しても効果が変わらないということが前提です(当然です)。しかし、実臨床で患者さんが薬の効き目を実感するときは、きっと違います。肩書も「見た目」に近い情報です。同じ薬でも研修医が処方するより、教授や院長が処方する方が、効きそうな気がしませんか?

薬が本来持つ力以上の効果を発揮させられるかは、ひとえに医師の持ちうる(視覚情報を含む)コミュニケーション技術によると思います。患者さんに「この先生が出す薬だから、きっと効くだろう」と思って薬を飲んでもらえるような医師になりたいと思います。

伝えることの難しさ 2017-02-01

先月、三重大学に出向き、医学生に講義をしてきました。亀山でクリニックを開院した後も、院外講師として、毎年、男性不妊、男性性機能障害などをテーマに話をしています。学生100人余の貴重な時間を犠牲?にするのですから、気張って講義に臨むのですが、講義の後はいつも「自分のメッセージは、どれほど伝わっただろうか?」と思います。

流行りの「〇〇力」という言葉で言うなら、講義で必要な能力は「説明力」です。ビジネス書作家の小暮太一氏によれば、物事を分かりやすく説明するためには、①整理する力(相手が理解しやすいように情報を整理整頓する力)、②かみ砕く力(相手が分かる言葉で伝える力)、③興味を引く力(相手が積極的に聞きたくなるように情報を編集する力)の3つの力が必要とのこと。有名予備校講師の林修先生も、テレビで「相手(学生)が判る言葉で説明できること」を良い先生の条件として挙げていました。なるほど。

講義以外にも、患者さんへ検査結果や治療法を判りやすく伝えることが私の仕事です。友人やスタッフや先輩の先生方には感謝を、また、妻や子や親には「愛していること」を伝えたいと思います。しかし、人には言葉や文字といった高度な意思伝達の手段があるにもかかわらず、ときに自分の思いや考えを他人に伝える難しさを感じずにはいられません。

言葉を使える我々には、「説明力」に加えて「想像力」が必要だと思います。このように話したら学生はどのように考えるのだろう?このようにがん告知をしたら患者さんはどう思うだろう?疲れている妻がいま一番言ってもらいたい言葉は何だろう?と思いをめぐらせ、相手に配慮することです。こう考えると、想像力の欠如というのは、言葉を持たないに等しいものであるようにさえ思えます。

医学部の授業では「がん告知」の方法なんて教えてもらえません。将来の日本の医療を担う後輩たちには、患者の気持ちを慮ることができる「説明力と想像力のある」ドクターになってほしいと思います。

笑いの回数と時間の感覚 2017-01-05

「大人になると笑わなくなる」というグリコのCMを見ました。子供は1日に400回も笑うのに、大人になると15回程度しか笑わなくなり、しかも年齢とともに笑う平均回数も減るそうです。

なぜ、大人になると笑わなくなるのでしょう? 嬉しいことや、面白いと思うことが減るからでしょうか? 笑う以外にやらなければならないことや、考えなければならないことが多すぎるからでしょうか? あるいは、笑っていると、妬まれたり、バカだと思われたりするのではないかと考えるからでしょうか?

「大人になると時間を短く感じるようになる」とも言います。これまでの人生に対する1年という時間の割合が短くなるため、という心理学的な考え方(ジャネーの法則)もあるようですが、記憶に残る(残したい)笑える楽しいことが多いと、忘れたい嫌なことが多いより、振り返った時にその時間を長く感じるのではないか、とも思えます。

自分のことを振り返ってみると、昨年は、これまでの人生で最も休みが少なく、イライラも多い1年だったのですが、不思議と「長く」感じられた1年でもありました。笑顔が例年より多かったかどうかは判りません(たぶん同じくらいだったと思います)。忙しく、いろいろと問題を抱えながらも、働き方や家族との過ごし方に満足ができた1年だったから、「長く」感じられたのかも知れません。

グリコのCMは、「Smile. Glico 笑顔トリビア編」としてインターネットのYoutubeなどでも見ることができます。CMは、「幸せだから笑うのではなく 笑うから幸せになれる」というメッセージで締めくくられます。一度、ご覧になってみてください。

今年も皆さんとともに、笑顔の多い1年にしたいと思います。どうかよろしくお願いいたします。

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